星空撮影のテクニック

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流れ星のシェイプ

夜空に広がる星々や天の川を写真に収める星空撮影は、誰にでも挑戦できる感動的な体験です。特に光害が少ない種子島は、星空撮影に最適な場所です。本記事では、成澤広幸さんのアドバイスをもとに、一眼カメラとスマホを使った星空撮影のポイントをわかりやすく解説します。また、天体に関する豆知識や必要なアイテムについても紹介します。

星空撮影に必要なアイテム

星空を美しく撮影するには、以下の道具が欠かせません。
一眼カメラ・スマホ問わず活用できます。

  • 三脚
    カメラやスマホをしっかり固定してブレを防ぐ。風ブレをおこさないよう丈夫なものを選ぼう。
  • 雲台
    雲台も丈夫なものを選ぼう。3wayを使用する場合は前後を反対にすると上を向けやすいです。
  • リモートシャッターまたはセルフタイマー
    シャッターを切る際のブレ防止。セルフタイマーランプは周囲の撮影者に不快感を与えるため、ランプをオフにすること。できない機種の場合はランプに厚めのテープを貼って光の漏れをなくそう。シャッターディレイ搭載機種もあるので確認しておきましょう。
  • 広角レンズ(一眼カメラの場合)
    広範囲を明るく撮れるレンズが最適。(35mm換算で24mmよりもワイドで、F2.8よりも明るいレンズがおすすめ)
  • 星座アプリ
    星座や天の川の位置を確認できるアプリ。
  • モバイルバッテリー
    長時間撮影をする際に便利。
  • 防寒着や虫除け
    屋外での環境対策として必須。靴や帽子、手袋なども暖かいものを準備すると安心です。
  • 弱い電球色ライト
    暗闇で手元を照らしながら、目が暗闇に慣れるのを妨げない暗いライトがおすすめです。ビクセン「天体観測用ライトSG-02」が人気があります。赤色ライトは周囲の撮影者に映り込み易いため星景写真ではNGとされているので気を付けよう。夜間に歩くようの明るめのライトも別途あるとよいでしょう。

一眼カメラでの星空撮影

[ 基本設定 ]

  • モード

    マニュアルモード(Mモード)を使用して設定を細かく調整。

  • ISO感度

    1600〜6400(カメラの性能に合わせて調整)。

  • シャッタースピード

    10〜30秒(撮影後に画像を確認して、星が流れを許容できる感じを探そう)。焦点距離にもよりますが、シャッタースピードを20秒程度に抑えておくのが目安になるでしょう。

  • 絞り(F値)

    できるだけ明るく(最低でもF2.8の明るさを推奨)。

  • ピント

    無限遠に合わせる(ライブビューを拡大し、マニュアルフォーカスで微調整)。

スマホでの星空撮影

[ 基本設定 ]

  • モード

    ナイトモードまたは長時間露光モード(星空撮影をサポートするモード)を使用。

  • ISO感度

    800〜1600に調整可能ならその範囲を目安に。

  • 露光時間

    15〜30秒を設定(対応アプリを活用)。

  • ブレ防止

    三脚とスマホホルダーで安定させて撮影。

[ 推奨アプリ ]

  • NightCap Camera

    iPhone向けの高感度撮影アプリ。

  • Star Walk

    天の川の位置を確認できる星座アプリ。

夜空の背景

撮影環境の選定

アイコン

光害の少ない場所

街明かりや光の影響が少ない
場所を選ぶ。街灯や自動販売機が
ないことも重要です。

アイコン

天候条件

雲が少なく、湿度の低い空気が
澄んでいる夜が最適。

アイコン

月齢の確認

新月前後の2週間は月明かりが
少なく、星空が鮮明に見える。

撮影テクニック

構図の工夫

構図の工夫

前景に山や木などの風景を入れることで、写真に深みを持たせる。星をたくさんいれた構図と、風景を多めに入れた構図の2つを意識して撮影してみましょう。

ホワイトバランスの調整

ホワイトバランスの調整

星空の色合いを好みに合わせて調整する。青すぎると星の色が消されてしまうので気を付けよう。

ノイズ除去

ノイズ除去

高感度撮影によるノイズを、現像ソフトで適切に処理する。

流れ星のシェイプ

天の川に関する豆知識

天の川は季節ごとに見える方角や姿が異なります。
種子島での撮影時に役立つ情報を以下にまとめました。

天の川が見られる季節

天の川は地球の周囲を一周しているため (天の川銀河の中に地球がある)、一年中見ることができますが、
季節によって見えるエリアが変わります。

春 ( 3月~5月 )

夜半前(0時前)は冬の天の川が西の空に見えます。夜半を過ぎると夏の天の川(銀河の中心部)が南東の空から昇ってきます。夏の天の川を狙うと朝方の撮影になるため多少ハードですが、低い夏の天の川が風景と絡めやすくとても人気のあるシーズンです。

方角:夜半前は西、夜半後は南から南東の空。

夏 ( 6月〜8月 )

銀河の中心部(銀河核)が早い時間に高い位置で見えるようになり、気候も温暖になるため観測・撮影に最適なシーズンになります。

方角:南~南西

秋 ( 9月〜11月 )

夜半前には西に沈む夏~秋の天の川、夜半後は冬の天の川が昇ってきます。過ごしやすい気候になり、日照時間が短くなって夏~秋~冬の天の川を楽しめることから、ベストシーズンと言えます。

方角:夜半前は南西~西、夜半後は東の空。

冬 ( 12月〜2月 )

淡い冬の天の川が楽しめるシーズンです。
気温は下がりますが、空気の透明度の高いシーズンであり、晴天率も高く、撮影が楽しみやすい時期でしょう。

方角:東から北東の空。

新月の夜

撮影のタイミングは
新月の夜がおすすめ!

月明かりの影響が少なく、雲が少ない、星空がはっきり見える夜がおすすめ。
新月の前後2週間は比較的月が細く影響が少ないので星空の撮影シーズンです。

夜空の背景

アドバイスをくれたのは‥

成澤広幸

風景写真家

成澤 広幸 先生

1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。埼玉県在住。
星空写真家・タイムラプスクリエイター・Youtuber。

  • 公益社団法人日本写真家協会(JPS)正会員
  • ニコンNPS会員
  • Blackmagic Design 「DaVinci Resolve」認定トレーナー

オンラインサロン「成澤広幸の撮影研究塾『STAVE』」を運営。全国各地で撮影セミナー、動画編集セミナーを多数開催。天文雑誌・カメラ雑誌・webマガジンなどで連載を担当。星空写真全般(星景・天体)と、幅広い被写体のタイムラプスを撮影。特に「Holy Grail」と呼ばれる夕焼け〜星空〜朝焼けのタイムラプス表現を得意とする。
写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。動画撮影・編集技術を磨くべくYoutuberとしての活動をスタート。自然写真家・田中雅美氏、タイムラプスフォトグラファー・岡浩一郎氏に師事。

著書

  • 「成澤広幸の星空撮影塾 決定版」
  • 「プロが教えるタイムラプスの教科書」など。

メディア出演

  • 日本テレビ「ヒルナンデス!」夏休み絶景特集出演
  • テレビ東京 「Youは何しに日本へ?」
  • NHK総合「朝ごはんLab」など

連載

  • 月刊天文ガイド「星空に会いに行く・撮りに行く」
夜空の背景